初心者でも分かるエンジニアリング

【初心者向け】小学生でも分かる化学工学!料理に例えて学ぶプラントエンジニアリングの基礎
「化学工学」や「プラントエンジニアリング」と聞くと、なんだか難しそうなイメージがありませんか? 実は、私たちの身の回りにあるすべての製品は、化学の力で作られています。本記事では、元小学校教員という異色の経歴を持つ、プラントエンジニアリングを手掛けるKH工業の平野氏の解説動画を基に、化学工学の基礎を分かりやすく解説します
難しい数式は一切使いません。身近な「クッキー作り」に例えて、小学生でも理解できるように丁寧に説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください

化学工学(ケミカルエンジニアリング)はなぜ重要なのか?
全ての製品は「化学」から始まっている
私たちが日常的に使っているスマートフォン、衣類、薬、そして食品まで、世の中のすべての製品は「化学」から始まっています。たとえば、ニュースで話題になる海外での紛争などによって石油が輸入できなくなれば、製品を作るための基礎材料(ナフサなど)がなくなり、世の中では何ひとつ製品を作れなくなってしまいます
化学工学は、私たちの便利で豊かな生活を根本から支える、国にとっても世界にとってもなくてはならない重要な分野なのです
化学工学業界の現状とインド人エンジニアの活躍
日本の大学にも「化学工学」を学べる学科はありますが、実はこの分野を専攻する学生の絶対数が少ないという現状があります。さらに、大学で化学工学を学んだ優秀な学生が、卒業後に化学工学の分野へは進まず、別の業界へ就職してしまうケースも少なくありません
一方で、近年注目を集めているのがインドです。インドは日本の約10倍の人口を抱えており、化学工学を学んで卒業する学生の数も日本の10倍以上になります。しかし、インド国内では化学工学の知識を活かせる就職先が不足しており、毎年多くの優秀な学生が余っているのが実情です
そのため、近年では日本のプラント業界がインドの優秀な学生を採用し、日本でエンジニアとして活躍してもらう流れが加速しています。KH工業でも、実際にインドへ赴いて面接を行い、積極的な採用を進めているそうです。業界のグローバル化が進む中、日本国内でも改めてエンジニアリングの面白さに気づき、将来の仕事として選ぶ人が増えることが強く望まれています
料理とそっくり!?クッキー作りで学ぶ化学工学の基本
化学工学と聞くと巨大な工場や複雑な機械をイメージするかもしれませんが、その基本的な考え方は、私たちの身近にある「料理」と非常に似ています。ここでは、クッキーやケーキを作る工程を思い浮かべながら、化学工学のプロセスを学んでいきましょう。
ふるう・分ける(分離)
クッキーを作る時、小麦粉がダマにならず混ざりやすいように「ふるい」にかけますよね。プラントエンジニアリングの世界でも、粉末状の材料をふるって混ざりやすくする工程がごく一般的に行われています
また、卵の黄身と白身を分けるように、化学の世界でも物質を分ける作業があります。これを「分離」と呼びます。例えば「遠心分離機」という機械を使って、ぐるぐると高速回転させることで発生する遠心力を利用し、粉と水などを綺麗に分けることができます
混ぜる(攪拌・かくはん)
ボウルに小麦粉、砂糖、卵、牛乳などを入れて、泡立て器でぐるぐると混ぜる工程は、化学の世界では「攪拌(かくはん)」と呼ばれます。料理で使う泡立て器やヘラの役割を果たすのが「攪拌機(かくはんき)」です。複数の材料をムラなく均一に混ぜ合わせることは、高品質な化学製品を作る上で非常に重要なプロセスとなります。
焼く・冷ます(温度調整)
クッキーの生地ができたら、オーブンに入れて焼き、その後は適度に冷まして完成させます。発酵が必要なパンであれば、冷蔵庫に入れて少し寝かせることもあります。化学のプラントでも全く同じように、材料に熱を加えたり、冷ましたりする工程があります。これらはすべて「目的の物質を生成するため」や「製品を袋詰めなどの扱いやすい形にするため」など、料理と同じような明確な理由で行われているのです
実際のプラントエンジニアリングの仕組み
料理の例で基本的なイメージが湧いたところで、実際の化学工場(プラント)ではどのような機械や技術が使われているのかを具体的に見ていきましょう。
大きな鍋「攪拌槽(かくはんそう)」と単位操作
工場では、粉体と液体(純水や超純水、様々な薬品など)を、バルブを使った自動制御や手作業で大きな容器に投入します。この容器を「攪拌槽(かくはんそう)」と呼びます。攪拌槽の上部には強力なモーターがついており、中の材料をしっかりと攪拌(ミックス)します
さらに、攪拌槽の周りには温度を調節するための工夫が施されています。温水や、100度以上の「スチーム(蒸気)」を入れて材料を温め、化学反応を促進させます。目的の物質ができあがったら、今度は冷たい水や、「ブライン」と呼ばれるマイナス温度でも凍らない特殊な液体を循環させて一気に冷却します
このように、工場内で行われる「混ぜる」「運ぶ」「冷やす」「温める」「入れる」といった1つ1つの作業のことを、エンジニアリングの世界では「単位操作」と呼びます。どんな複雑なプラントも、この単位操作の組み合わせで成り立っているという考え方が重要なのです
引っ張る力「真空引き」
さらに、工場ならではの面白い技術として「真空引き」があります。ポンプなどを使って容器の中の空気を抜き、真空(空気の薄い状態)を作ります。すると、大気圧(通常の空気の圧力)との間に圧力差が生まれ、強い「引っ張る力」が発生します。この力を利用することで、別の場所にある液体を配管を通してシューッと吸い上げたり、移動させたりすることができます。化学工場では、このような物理的な性質を巧みに利用して連続的な運転を行っているのです
まとめ:化学工学は私たちの身近にある
いかがでしたでしょうか。難しく聞こえる「化学工学(ケミカルエンジニアリング)」や「プラントエンジニアリング」も、実は「クッキー作り」などの料理と共通するプロセスが多く、非常に身近なものであることがお分かりいただけたかと思います
この記事の重要なポイントをまとめます。
  • 全ての製品は化学から始まっている:石油などの原料から様々な製品を生み出す、社会に不可欠な分野です
  • 料理の工程=プラントの単位操作:粉をふるう、分ける(分離)、混ぜる(攪拌)、温める、冷やすといった作業は、プラントの現場でもそのまま行われています
  • さまざまな技術の組み合わせ:攪拌槽での温度コントロールや、圧力差を利用した真空引きなど、様々な単位操作を組み合わせて製品は作られています
元小学校教員であるKH工業の平野氏が語るように、この記事を通じて少しでも多くの方がエンジニアリングの世界に興味を持ち、「将来この分野で働いてみたい」「ものづくりの楽しさを味わいたい」と感じていただければ幸いです。

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